診療コラム [いびき]

いびきは治療出来る事はご存じでしょうか。

皆さま、突然ですがこんなお悩みありませんか?

・いびきがうるさいと言われる(誰かと一緒に寝られない、旅行に行きづらい…など)
・息苦しくて起きてしまう事がある
・起きると喉が痛い(口を開けて寝ている)
・寝ても疲れが取れない
・熟睡が出来ず、昼間に眠くなる

自分のいびきが気になっている方は想像以上に多いと聞いております。
男女1000人対象の調査によると3人に1人がいびきで悩んだ経験があるようです。
パートナーからの指摘や旅行時の不安などの声もよく聞きますが、対処方法が分からず困っている方が多いように思います。

いびきは気道の狭窄で起こり、主に下記のような原因があります。
・鼻の狭窄
・喉の狭窄
・骨格(顎の大きさ)
・肥満
・お酒やタバコなどの生活習慣
・睡眠障害
・ストレス


治療法も様々ですが、鼻の狭窄に対しては、鼻通りを改善させるために内服やレーザーによる治療をおこないます。また、喉の狭窄に関しては組織を一部切除したり、切らないレーザー治療をおこなったりすることもあります。加えて、鼻や喉、肥満などの原因に関わらず使えるCPAP療法もあります。そのほかにも、ダイエットや生活習慣の改善などで治療できることもあります。

そのため大事なのは、自分のいびきの原因は何かということについて、診察を受けてしっかり調べることです。また、原因が1つとは限らず、複数の項目に当てはまる患者さんも非常に多くいらっしゃいます。いびきといっても耳鼻科や内科などの専門分野にこだわらず、総合的にアプローチしていくことが重要です。


いびきは「単純性いびき症」「上気道抵抗症候群」「睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)」の3つに分けられます。

単純性いびき症は、お酒を飲んだときや疲れが溜まっているとき、鼻が詰まっているときなどにかくいびきのことです。一過性のものであれば特に心配はいりません。

上気道抵抗症候群は睡眠中、何らかの原因で上気道が狭くなり、強く呼吸をすることでいびきが生じます。習慣的にいびきが発生し、そのたびに睡眠が中断されるため日中に強い眠気や疲労感を覚えることがあります。

睡眠時無呼吸症候群は睡眠中、無呼吸や低呼吸の状態になるため体が低酸素状態となる疾患です。放置すると生活習慣病を合併したり、認知症や脳卒中、心筋梗塞のリスクが高くなったりします。


いびきに対する治療としては、レーザー治療とCPAP療法が代表的です。レーザー治療の中には、伸びてしまった軟口蓋や口蓋垂などの一部を切除する従来のレーザー治療と「切らないレーザー治療」があります。

当院での治療法は、「CPAP療法」、「切らないレーザー治療」がございます。


当院では、いびきに対してまずは「簡易PSG検査(終夜睡眠ポリグラフィ検査)」を行います。
簡易検査では結果をAHI(無呼吸低呼吸指数)で示します。これは睡眠1時間あたりの無呼吸と低呼吸の回数を合計した数値です。
この検査によって、いびきの原因が「睡眠時無呼吸症候群」なのかを判断でき、AHI(無呼吸低呼吸指数)が40以上の方は、保険適用でCPAP療法が導入できます。

CPAP療法とは、「持続陽圧呼吸療法」とも言います。装置から鼻に装着したホースやマスクを通して空気を気道へ送り込み、常に圧力をかけた状態にして気道が塞がらないようにする治療法です。

中等度(AHI:20-40未満)の方は、睡眠時無呼吸症候群が疑われますが簡易検査のみでは保険適用で導入が出来ないため、精密PSG検査を行います。

この検査は従来専門病院での入院検査が必要でしたが、当院ではフィリップスの検査機器を導入した事によって、入院せず自宅での検査が可能となりました。このため、「仕事で忙しく入院は出来ない」などの理由で検査が出来ない方にも検査が楽に受けられます。
精密検査装置は、簡易検査のセンサーと合わせて、複数のセンサーを装着し、脳波、胸部、腹部の換気運動なども測定します。自宅で実施する場合は、ご自身で装着していただくこととなりますので、取扱説明書をよく読んで検査にあたってください。

 

検査費用は保険適用3割ご負担の方で、
簡易PSG検査:4000円程度 
精密PSG検査:12000円ほどです。
精密PSG検査は1泊入院だと約30000円程度かかりますので、経済的にもご負担は少なくなります。

CPAP療法の費用は保険適用3割負担の方で月5000円程度となり、月1回受診が必要です。

 

検査結果によってCPAP導入に至らなかった方や、CPAP導入しているが満足していない方などは「切らないレーザー治療」をおすすめしています。
切らないレーザー治療は、61℃に高熱を蓄熱させる事でコラーゲンの収縮と新生を同時に起こし、組織の弾力性と収縮性が向上します。その結果、表面を傷つけずに口腔内部から粘膜の膨らみをレーザー照射することで引き締められ、呼吸の通り道である気道を広げ呼吸を楽にしいびきを軽減できます。
施術も30分程度、日帰り治療で術後の食事制限やダウンタイムもほとんどありません。
調査によると、1回の治療で約5割、2回目で約8割の患者様が「息がしやすい」「眠りが深くなった」などの実感があるようです。1回きりではなく5回を目安に繰り返すことでより確かな効果を得られると思います。
レーザー治療に関しては、姉妹院の熊本かよこクリニックで行っております。
費用は自由診療で、初回49500円、2回目88000円となっております。

 

CPAP療法・レーザー治療のメリット・デメリットについて簡単にまとめると…

CPAP療法
<メリット>
・いびき改善効果が非常に高く、無呼吸を伴う人にとっては睡眠時無呼吸症候群の治療や予防に繋がる。
・肥満や鼻に問題がある人でもいびき症状を改善できる

<デメリット>
・機器の持ち運びが難しい
・マスク装着するので、中には寝づらい方も。
・対症療法なので毎月病院受診し、継続が必要

切らないレーザー治療
<メリット>
・いびきの原因を解決出来る根本治療
・痛みやダウンタイムがほとんどない
・体に負担が少なく、仕事を継続しながら治療できる

<デメリット>
・重度の場合は対応できない事がある
・口蓋や舌が肥大した方は効果が乏しい事がある
・自由診療なので費用が高い


このようにいびきは治療ができ、QOLの向上が期待できます。
良質な睡眠は健康維持にとって欠かすことの出来ない条件なので、自分やパートナーのいびきでお悩みの方、ご興味があられる方、一度ご相談にいらして下さい。

 

カテゴリー: